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執筆者の写真栗原ヴァイオリン・ピアノ教室

最後のレッスン

そろそろ卒業式のシーズンですね。

3月はお別れの多い季節でもあります。


ヴァイオリンやピアノのレッスンにおいて、どんな生徒さんとも「最後のレッスン」がいつかはやって来ます。


受験に進学、就職、引っ越し、ケガや家族の介護など… 理由は様々ですが、いつも最後のレッスンは寂しさを感じつつも、楽しい時間にしたいと思って内容を考えます。


最後のレッスンが終わった後に生徒さんの書いたお手紙をいただいたり、とても楽しいレッスンでしたと笑顔で去って行かれたり。


中でも思い出に残る生徒さんは、小学生の女の子。

物静かでほとんど感情も顔に出さず、話しかけても囁やくような声で必要最小限の返事しか返って来ない。笑顔もあまり見た記憶がありません。

どんな気持ちでレッスンに通っているのか、演奏を楽しんでいるのか、どんな曲が好きなのか…何年もレッスンしているのに、あまり分かりませんでした。

話しかけられるのは苦痛なのかな…と思い、私もあまりお喋りもせず、静かにレッスンをしていました。


ある時、ご事情でレッスンをやめることになったのですが、最後のレッスンをピアノ合わせで曲を仕上げ、さぁお母さんが迎えに来ました、という時…生徒さんの赤くなった目に涙が。お母様によれば、レッスンに来る前に「今日で先生に会うのも最後かと、泣いていました。レッスン中は大丈夫でしたか?」とのこと。

その途端、生徒さんは大きく声を上げて泣き出してしまい…私も思わずもらい泣きしそうになりました。ああ、楽しい時間を過ごしていてくれたのかな、と思えた瞬間でした。


今年もまた、新しい環境へと一歩踏み出し「最後のレッスン」を迎えられる生徒さんがいます。新たな人生の門出を祝いつつ(こちらは


ちょっぴり寂しいのですが)、どこにいても、何をしていても、音楽を楽しんでいてくれたらいいな、と思っています。




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