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執筆者の写真栗原ヴァイオリン・ピアノ教室

気候変動で楽器もピンチ⁉


本体の大部分が木でできている、アコースティックのヴァイオリンやピアノが奏でる、暖かみのあるサウンド。どんな種類の木が使われているのかご存知でしょうか?


ピアノにはスプルースやカエデ、ブナやマホガニーといった木が使われています。

スプルースはヴァイオリンにも欠かせない素材で、これは主に北米やヨーロッパで育つ松の仲間で、ベイトウヒとも呼ばれています。ヴァイオリンの表板にはスプルースが使われます。裏板などその他の部分にはメープル、指板には黒檀が使われています。糸巻き、テールピースや顎当てには黒檀、柘植、ローズウッドなど、多彩な木材が使われているのですが、現在ローズウッドは規制のため入手が難しくなってしまいました。


昨年の夏の長く続いた猛暑は、スプルースの森にも深刻な影響をもたらしたようです。暑さで樹々が弱り、そこへキクイムシの害が発生し、状態の良い大きな木材が減ってしまう危機に…この木は建材にも多く用いられていて、建築業界でも困った事態になるのではないでしょうか。楽器に使用する木材は数十年かけて乾燥させたものなので、すぐに楽器が作れなくなることはないかと思いますが、今後が心配です。


既に弓の素材のフェルナンブーコも危機的な状況にあり、一時はブラジル政府の規制により、未加工の素材どころか、演奏家が弓を持って国々を行き来することすら禁じられそうになったほどです。(ありえない事態ですよね。楽器製作者や音楽家の猛反対により、すんでのところで回避されました。)


また、古いピアノの鍵盤には象牙が使われていましたが、現在は使えなくなっています。お世話になっている調律師さんのお話では、なんと古い象牙鍵盤の修復にはマンモスの骨が使われるのだとか!これはこれで貴重そうですね。


昨年はいろいろな物の値上がりが話題となりましたが、ヴァイオリンやヴィオラなどの、弦楽器の弦も大幅値上げとなりました。1.6倍くらい高くなったメーカーも!急激すぎる…値上げ前に買い溜めし忘れ、地団駄を踏んでおります…!


気候変動や環境破壊は、音楽の世界にまで影響を与えてしまうようです。今年はまずは身の回りから、エコ意識をよりはっきり持っていきたいと思います。



スプルースのきれいな木目

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